バイオグラフィー

Biography

宝居智子

現代美術家

1984年 千葉県出身
2007年 女子美術大学美術学科日本画専攻 卒業
イギリス(ロンドン)在住

 宝居智子の作品は、自然や人間に内在するさまざまな物質の記憶を一つの画面に再構築し、新たな時間の流れを創造しています。彼女の作品では、抽象的な表現を通じて、自然と人間に共通する規則性や幾何学的なパターンを用いながら、それぞれの視覚的な差異を曖昧にしています。この手法により、すべての生命が細胞から成り立っていること、そして人間もまた自然の一部であることを鑑賞者に語りかけています。

 地球上のあらゆる物質には、その誕生から現在に至るまでのルーツがあります。例えば、石はマグマが冷え固まって結晶化したものや、砂や貝殻が堆積して形成されたものなど、物質が持つ記憶は多様です。人間も同様に、それぞれのルーツを持っています。彼女は物質が持つ記憶として、人類が移動し発展させてきた文化の時間を作品に取り入れています。特に、彼女の作品に使用している七宝焼には、人類が培ってきた金工やガラスの歴史、そして彼女自身のルーツが反映されています。

 彼女の抽象表現は、自然界に見られる結晶や蜂の巣といった規則性から影響を受けています。この規則性を人間の動作と重ね合わせることで、自然と人間の類似性を見出しています。特に、フランスのラスコー洞窟壁画や日本の土器など、古代の祖先が行っていた物づくりの行為は、彼女にとって人と自然を媒介する手段のように感じられます。文化に内在する手仕事や絵画、踊り、音楽などの反復的な動作を作品に取り入れ、制作過程において幾重にも動作を重ねることで、祖先が美しい刺繍を施したように、人類の時間の痕跡を表現しています。

[素材とリサーチ]
 彼女の作品制作におけるリサーチは、日常で目にする植物や鉱物から、氷河やオーロラ、史跡に至るまで広範囲にわたります。彼女はミクロとマクロの視点を行き来しながら観察し、現地へ赴いて自然史と人類史の時間の流れを体感し、その経験を作品の構想に反映させています。
 素材の研究に関しては、日本の美術大学で伝統的な日本画の技法や、天然鉱物を粉砕して絵具を作る技術を学びました。この経験は現在の作品制作においても活かされています。彼女は、素材や技法の研究を続け、伝統的な技法を大切にしながらも新たな可能性を広げることを目指しています。また、絵具の研究に加えて、人類文化の流れを作品に取り入れるため、日本の伝統工芸職人から七宝焼の技法も学びました。
 彼女は今後もさまざまな国や地域の物質を収集し、それらが持つ歴史的背景をリサーチしながら、作品を制作していきます。

 

Exhibitions / Awards

Solo Exhibitions

  • 2023年 個展「Internal Environment」(三越銀座店)
  • 2023年 個展「時の痕跡」(伊勢丹新宿店, 東京)
  • 2022年 個展「Traces of Time」(ヒルトピアアートスクエア)
  • 2022年 個展「時の痕跡」(ちばぎんひまわりギャラリー)
  • 2019年 個展「わたしと宙と植物の世界」(三越銀座)
  • 2017年 個展「The Secret Garden」(万画廊)
  • 2017年 個展「愛と乙女」(三越銀座店)
  • 2016年 個展「増殖の行方」(ルネッサンスホテル・アティラウ/カザフスタン)
  • 2016年 個展「深花」(アートフェア東京/東京国際フォーラム)
  • 2014年 個展「花蝶絢爛」(伊勢丹浦和店)
  • 2014年 個展「日本の美」(カザフスタン初代大統領博物館)
  • 2014年 個展「-野に咲く花とカザフスタンの子どもたち-」(万画廊)
  • 2014年 個展「日本と中央アジアを結ぶ新しい日本画」ギャラリーオープン記念(ちばぎんひまわりギャラリー)
  • 2013年 個展「伝統美」(三越銀座店)
  • 2013年 個展「アジアに生きる命」(伊勢丹浦和店)
  • 2013年 個展「東風育生-こちいくせい-」(万画廊)
  • 2012年 個展「花蝶画-SAKURA-」展(ドラードギャラリー)
  • 2009年 個展(月光荘/銀座)

Exhibibtions in past

  • 2024年 グループ展示「Echos: The Art of Preservation」 (FUSEBOX, London)
  • 2024年 グループ展示「ESSENTIAL STRUCTURES」 (Gerald Moore Gallery, London)
  • 2023年 ART MARKET TENNOZ 2023 (WHAT CAFE)
  • 2021年 グループ展示「たからもの for おくりもの 2021」(BIOME Gallery)
  • 2020年 グループ展示「The Girl」(三越銀座店)
  • 2020年 グループ展示「ブレイク前夜展 小山登美夫セレクションのアーティスト38人」(代官山ヒルサイドテラス)
  • 2019年 Art Expo Malaysia
  • 2019年 青晴会日本画展 (大阪・新宿高島屋)
  • 2019年 ブレイク前夜展 (六本木ヒルズA/Dギャラリー)
  • 2019年 『美人画づくし 弐』出版記念展(ギャラリーアートもりもと)
  • 2018年 Christmas ART session(横浜高島屋)
  • 2018年 中沢梓・宝居智子二人展(伊勢丹新宿店)
  • 2018年 三越逸品会(日本橋三越)
  • 2018年 青晴会日本画展(横浜・大阪・京都高島屋)
  • 2018年 ブレイク前夜展(Bunkamura Gallery)
  • 2017年 青晴会日本画展(横浜・大阪・京都高島屋)
  • 2016年 青晴会日本画展(横浜・大阪・京都高島屋)
  • 2016年 新春日本画6人展(The Artcomplex Center)
  • 2015年 女子美術大学付属高等学校・中学校100周年記念(上野の森美術館)
  • 2015年 宝居智子展(アルマティー国立中央博物館)
  • 2015年 中原亜梨沙・宝居智子二人展「華やぎの色」(伊勢丹新宿店)
  • 2014年 第二回蚕雅展・千葉巡回展(行元寺)
  • 2014年 第二回蚕雅展・東京展 (ギャラリーショアウッド)
  • 2014年 華やぎの色 絵画三人展 (伊勢丹新宿店)
  • 2013年 日本画三人展「春宵一刻」(ギャラリー上原)
  • 2012年 URUTORA 005(スパイラルガーデン)
  • 2012年 日本画女流画家 艶姿展(ギャラリーショアウッド)
  • 2012年 コレクター山本冬彦が選ぶ 珠玉の女性アーティスト展(三越銀座店)
  • 2012年 アールデビュタントURWA2012(伊勢丹浦和店)
  • 2012年 蚕雅展-新日本画古典研究会-(銀座 月光荘)
  • 2011年 Young Japanese Artists 2011(ニューヨーク・マンハッタン)
  • 2011年 カナダ「トロントアートフェス」(カナダ・トロント)
  • 2011年 蚕雅展・小作品展示(銀座おうぎや)
  • 2011年 百花繚乱展(The Artcomplex Center)
  • 2011年 遊美2011・美術大学在学生、卒業生による合同展示(タワーホール船堀)
  • 2011年 女子美術大学OG展(The Artcomplex Center)
  • 2011年 東日本大震災支援「THANK YOU展」(ドラードギャラリー)
  • 2011年 東日本大震災チャリティー展示(横浜)
  • 2011年 東日本大震災チャリティー展示(The Artcomplex Center)
  • 2011年 小さな絵の大博覧会(ドラードギャラリー)
  • 2011年 光の展・グループ展示(銀座ぎおん石)
  • 2010年 アートイマジネーション展・合同展示(NHKギャラリー)
  • 2010年 遊美2010・美術大学在学生、卒業生による合同展示(タワーホール船堀)
  • 2008年 遊美2008・美術大学在学生、卒業生による合同展示(タワーホール船堀)
  • 2008年 WOMAN展女子美日本画グループ展示(Jトリップアートギャラリー)
  • 2006年 遠藤豆子・宝居智子二人展(銀座 月光荘)

 

Awards

  • 2016年 チェルノブイリ事故30周年・2017年アスタナ博記念「国際芸術家コンクール」 3等受賞
  • 2012年 ACTアート大賞展 優秀賞
  • 2010年 ドラード国際芸術文化連盟「創作表現者展」音楽家の選ぶ絵画賞
  • 2007年 女子美術大学日本画専攻総代卒業「加藤成之記念賞」

Workshop

  • 2015年 日本文化デー日本画デモンストレーション(アルマティー/国立中央博物館)
  • 2014年 カザフスタン日本画ワークショップ(カザフスタン初代大統領博物館)
  • 2014年 カザフスタン日本画ワークショップ(アスタナ日本センター)
  • 2013年 日本画ワークショップ・子どもの部/大人の部(青山学院大学)

Media

  • 2020年 bayfm 「MOTIVE!!」
  • 2019年 J-WAVE 「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」
  • 2019年 FMヨコハマ「FUTURESCAPE」
  • 2018年 日本放送「ENTERTAINMENT NEXT!」
  • 2018年 フジテレビ「1Hセンス」
  • 2018年 アートコレクターズ8月号表紙/生活の友社(7月25日)
  • 2016年 BSフジ「ブレイク前夜」
  • 2016年 FMヨコハマ「Next artlogue」
  • 2016年 JICA(国際協力機構)のインタビュー
  • 2015年 外務省Webの「世界の学校を見てみよう」
  • 2015年 COOL JAPAN
  • 2015年 東京新聞(5月22日)
  • 2015年 産経新聞(5月21日)
  • 2014年 カザフスタンTV出演、その他ニュース番組インタビュー、新聞雑誌掲載
  • 2014年 千葉テレビ
  • 2014年 アートコレクターズ1月号表紙/生活の友社(12月25日)
  • 2014年 東京新聞(3月29日)
  • 2014年 千葉日報(4月4日)
  • 2014年 毎日新聞(1月23日)
  • 2014年 進路ナビ(女子美術大学卒業生として)
  • 2013年 東京新聞(12月26日)
  • 2013年 埼玉新聞(8月26日)
  • 2013年 毎日新聞(8月9日)
  • 2013年 朝日新聞(8月14日)
  • 2012年 週刊ポスト(6月22日号)

Public Collections

  •  (以下敬称略)
  • 株式会社 千葉銀行
  • カザフスタン初代大統領博物館
  • 株式会社 めいとケア
  • ヒルトン沖縄宮古島リゾート
  • カザフスタン戦争障害者中央病院
  • 梓川診療所(松本市)
  • その他個人蔵

Designs and Projects

  • 2016年 正寿院天井画(京都/宇治田原町)客殿天井画の160枚のうち17枚を制作。
  • 2016年 中村彰彦 著「疾風に折れぬ花あり」装画担当(装丁:菊池信義)PHP研究所
  • 2015年 千葉銀行カレンダー